名古屋高等裁判所 昭和27年(う)1066号・昭27年(う)1065号 判決
記録を調査し被告人武藤修に対する原判決を査閲すると、原判決は所論の如く被告人の昭和二十四年十月十日頃から同二十五年二月七日頃に至る迄の前後十七回に亘る窃盗の事実を認定し刑法第四十五条第四十七条第十条のみを適用処罰しているが被告人は襄に昭和二十五年四月十八日岐阜地方裁判所において強盗罪により懲役三年但三年間執行猶予の言渡をうけ同判決は同年五月三日確定したことが明白であるから原判決確定の本件各犯行と右昭和二十五年五月三日の確定判決によつて認定せられた強盗罪とは刑法第四十五条後段の併合罪の関係にあり、従つて併合罪中の一部につき確定裁判があつた訳であるから同法第五十条を適用して未だ裁判を経ない本件犯罪につき裁判を為すべきものであることは寔に所論の通りであり、原判決は同法第五十条を掲げていないけれども同法条の如きは必ずしも、判決書に之を引用することを要するものではないのみならず原判決も結局同法条にもとづき本件所為につき処理したものと解せられるから原判決には所論の如き判決に影響を及ぼすべき擬律錯誤の違法はないのでこの論旨は理由がない。